成果が出やすい会議のための3つの工夫


2.可視化ツール

みなさんは「空中戦」という言葉を耳にしたことがありますか?

「ここで言う空中戦とは,お互いの意見を文字にすることなく,ただ口頭だけで会議を行うことを指す。参加者の頭の上をお互いの言葉が飛び交い議論(戦闘)している様子が,まるで戦闘機が空の上で戦っている様子に似ているところから作られた造語である。」(ITPro「[コミュニケーション編]空中戦をやってはいけない」より)

話し合いや議論の場で、出てきた意見を一つずつ覚えておくのは至難の技です。さらに、誰かの発言から連想ゲームのように話が広がった場合、元の議論に戻ることが難しくなったり、堂々巡りになってしまう可能性もあります。口頭だけで話を進めていると、あたかも「言葉が空中を溶けて流れる」かのように、全体像を見失ってしまいますが、これを防ぐのが「可視化ツール」です。

可視化するメリット


話し合いの最中に可視化ツールを使うと、下記のようなメリットがあります。

  1. 議論のポイントをわかりやすく提示できる
  2. 意見と感情を分離できる
  3. 共通の記録として残すことができる

可視化ツールと言っても、特別なものではありません。最初は「ホワイトボードに出た意見を書き出す」ところから始めましょう。出た意見を書き留めていけば、おのずと全員の視線がそちらに集まります。そうすると、意見と意見の関係(反対・類似など)も全員の納得を得ながら可視化することができます。

これを進めていくと、たとえば議論のポイントを表にまとめていくこともできます。ホワイトボードで手書きするのもよいですし、プロジェクターで映し出した画面でExcelなどを使っても構いません。そのように意見を整理しながら進めていくと、議論が脱線して当初の目的を見失ったり、時間切れで結論が出せない、などの弊害を防ぐことができます。

他にも、出た意見を可視化すると「意見と感情を分離する」ことができます。会議は人と人とのやりとりですから、どうしても日頃の人間関係と、「誰がその意見を言ったか」が重なり合うと、意見の善し悪しの判断に影響してしまいがちです。

明らかな依怙贔屓が目にあまる部長、会うたびにちくちくと嫌味をいう同僚、予想外の行動ばかりとって実績が伴わない部下…。どんな会社にも、苦手だなあと感じる人、反りが合わないと思う人はいるものです。同じ会議の席上でこれらの人たちから出る意見を、それ以外の人から出る意見に比べて、公平に聞くことができているでしょうか?

意見を口頭で聞くのではなく、可視化されたものを見ることで、「誰がその意見を言ったか」という観点を除くことができます。すると、感情に引きずられることなく、意見そのものの善し悪しを判断しやすくなるのです。

そして、結論が出て役割分担やスケジュールが決まったところで、このホワイトボードを写真に撮りましょう。あるいは、Excelなどで作成していれば、そのまま全員に「会議の記録です」とファイルで送付すれば、後で見返すことも簡単にできます。

可視化ツールは単なる表だけでなく、さまざまな例がありますので、興味のある方は以下の本などをご参考にされると良いと思います。

『[カラー改訂版]頭がよくなる「図解思考」の技術』
『ビジネス・フレームワーク (日経文庫ビジュアル)』
『フレームワーク使いこなしブック』

また、可視化ツールは誰でも使うことができますが、ファシリテーターを務める人は、率先してマーカーペンを持つか、プロジェクターのコネクタを自分のPCに刺すと、それだけで会議を先導していく雰囲気が生まれますので、試してみてください。

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