アイディアを呼び寄せる!思いつきを「起こす」にはー「生産性」を考えるシリーズ #4


みなさん、こんにちは。

「生産性」を考えるシリーズも最終回になりました。今回は、
・イノベーションをどうやって起こすのか
・アイディアをどうやって思いつくのか
についてお話ししたいと思います。

どうやってイノベーションを起こすのか


前回生産性を高めるにはインプットを減らすか、アウトプットを増やすかのいずれか、という話をしました。
その後、インプットを減らす方が実現しやすいと書きました。しかし、コツコツと改善していく方法では成果が目に見えるまでに時間がかかってしまうのも事実です。では、もっと劇的にインプットを減らす方法を探るにはどうしたらいいのか?答えは、「イノベーションを起こす」でした。

イノベーションというと、ある種のひらめきが実現化したもの、というイメージがあるかもしれません。ひらめき、というのはかなり偶然のできごとで、コントロールするのは難しそうに思えます。もちろん、何もかも思いつきというわけではなく、例えば商品開発の分野には、積み重ねてきた実験データやユーザアンケートなどをもとに、新しいものを日々生み出す、というプロセスがあります。しかし、誰もが驚く「コロンブスの卵」のような発想を、人為的に起こすことは可能なのでしょうか?

例えば、ちょっと仕事から離れる例ですが、野菜の千切りを大量に、かつきれいに作りたい、とします。

にんじんでも大根でも、千切りを作るには、まず薄いスライスを作り、それを何枚か重ねて端から細く切っていきます。均等な厚さのスライスを作るのはなかなか難しく、時間がかかります。しかし、何度も作るうちにだんだん上手になっていきます。

そのうち、スライスをあまりたくさん重ねすぎないことで、包丁を動かす高さが低くなり、スピードアップできることがわかります。包丁をよく研いでおいたり、まな板に対して真正面ではなく、やや斜めに向き合う姿勢がよいこともわかってきます。

こういった細かい見直しで、同じ時間でできる千切りの量も質も上がってきます。

しかし、10秒できゅうり1本分の千切りを作れ!と言われたらどうでしょうか。どんなにやり方を見直したところで、とても10秒で作れるものではありません。

こういう、一見無茶なお題が出てきた時が、イノベーションの起きる瞬間です。こんなものがありました。

千切りピーラー

答えを知ればなんということはないのですが、これによって、劇的に千切りの生産性は上がります。今までコツコツ練習してきたのはなんだったの…という声もあるかもしれませんが、結果が出れば手段は問わない、という割り切りができれば、とてもよい解決策です。

この例では、人が手で千切りを作る「今までのやり方」の延長ではとても達成できない目標が掲げられたことが、発想の転換につながっています。つまり、ある種の制約条件が課せられると、人の思考は突然切り替わり、今までの延長ではない考え方ができるようになるということです。

「思いつき」をコントロールする


ではここで質問です。この商品の存在を知らなかった人が、自力で「千切りができるツールがあれば、10秒できゅうり1本いけるかも」と考えつく方法というのはあるのでしょうか?

もちろん今回は、Googleで「野菜 千切り 簡単」などと入力すれば、楽天かアマゾンの広告が出て来て、問題はあっさり解決します。しかし、みなさんが会社で取り組むような高度な問題では、検索ひとつで解決までたどり着くのは難しいのではないでしょうか。そこで、様々な解決方法を自分で考えることになります。

ある問題に対して、「こうすれば解決できるんじゃないか」というアイディアを生み出そうとしている時、どんなことをしますか?集めた情報をもう一度眺めたり、その中から気になる情報をノートに書き写してみたり、図解してみるなど、何か手を動かしてアイディアが形になるのを待つ方法があります。一方で、誰かと話したり、全く違う分野の情報をあえて入れてみたりすることで、インスピレーションを得る方法もあります。

アイディア大全』という本には、様々なシチュエーションでの「思いつき」を誘発させる方法が載っています。いくつか紹介してみましょう。

1. コンセプト・ファン
[用途と用例]
・問題をより広い視野で捉え直す
・思考の幅を広げて代替案を作る

[レシピ]
1.紙の真ん中に最初の問題を書き、丸で囲む
2.そこから右側に放射線を描き、思いついた複数の解決策を線に沿って書く
3.問題をより広い展望で捉え直すために<ステップバック>を行う
4.ステップバックした問題から、右側に放射線を描き、思いついた複数の解決策を線に沿って書く
5.必要なだけ3と4を繰り返す。

 

2.オズボーン・チェックリスト
[用途と用例]
・アイディアを変形して増殖させる
・観点を強制的に増やす

[レシピ]
・既存のアイディアや成功例などを元に、次の9つの質問に答えていく
1.他への転用は?
2.他のものへの応用は?
3.変更したら?
4.拡大したら?
5.縮小したら?
6.代替したら?
7.再配列・アレンジしたら?
8.逆転したら?
9.結合させたら?

実はアイディアは「思いつく」とは言っても、そこまでに能動的にできることはいくつもあるのです。ただ、思いつくための方法として意識されていることは少ないので、「なんとなく書き出してみたり、話してみたりするとアイディアが浮かぶこともある」という程度にとどまっていたのではないでしょうか。

しかし、上記のような方法を複数知っていると「思いつき」を能動的に起こすことができるようになります。つまり、「アイディアを思いつきたい時にやることリスト」というものを作って、一通りやってみる、ということができるようになるのです。

終わりに

生産性を高めるには、という題で、ここまでお話ししてきました。いつもの仕事をもっと簡単な方法、コストのかからない方法、みんなが少し幸せになれる方法へと「改善」していくことと、劇的な変化を伴うイノベーションを起こすことが、生産性を高めていくことにつながる、とお伝えしてきました。

しかし、改善にせよイノベーションにせよ、毎日そのやり方でやっている人にとっては、「自らやり方を見直す」というのは実にハードルの高いことなのです。まずは「いろんなことを考え合わせると、現状が最善なのだ」という結論にすぐ飛びつかず、それは本当か?とシンプルに問いかけてみるのも大切なことだと思います。

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