インプットをぐっと減らせる方法ー「生産性」を考えるシリーズ #3


みなさん、こんにちは。

「生産性」をキーワードに仕事や身の回りのことを考えていくシリーズ、3回目は「インプットをぐっと減らせる方法」について考えてみたいと思います。

前回、生産性の向上には「アウトプットを変えずにインプットを小さくする」方法が実現しやすいとお伝えしました。インプットは日々の改善で少しずつ減らせるにとどまり、劇的な改善は難しいと考えられがちです。ところが今、インプットをぐっと減らせる事象が様々な分野で起こりつつあるのです。

「所有する」から「利用する」へ


シェアリング・エコノミーという言葉を聞いたことがあるかと思います。ものやサービスなどの資源を共同で利用する、という経済概念のひとつですが、この考え方に沿ったビジネスが企業や個人の行動を「所有する」から「利用する」へ変えました。この変化は生産性の向上にも一役買っています。従来の考え方で言えば、インプット=所有コスト(取得・保守運用管理コスト)、アウトプット=利用価値でしたが、資産や資源を「所有する」ことが不可欠ではなくなった今、従来のインプットはほぼゼロにまで下げることが可能になっています

IT資産は「所有する」から「利用する」へが新常識

例えばクラウドサービスについて考えてみましょう。以前は、企業内で利用するサーバは、自社で固定資産として所有しているのが一般的でした。そのため、減価償却や老朽化による入れ替えなどの管理コストがかかっていました。ソフトウェアや周辺機器など、全てのIT資産は情報システム部門が保守運用を行うので、人的なコストもかかっていました。

しかし、クラウドサービスの登場で、IT資産を所有する、という前提が大きく変わりました。IT資産を「所有せず利用する」という形態が実現化され、一般化するまでそう時間はかかりませんでした。総務省の『通信利用動向調査』によれば、2011年末の調査で「一部でもクラウドサービスを利用している」と回答した企業の割合は21.6%でしたが、2015年末では44.6%にまで上っています。

また、企業利用だけではなく、個人でもクラウドサービスの利用は当たり前になりつつあります。写真の共有や家族のスケジュール合わせなど、自宅のPCで管理していたものをクラウドに移行すれば、ハードウェアの容量を気にせずともよくなり、さらにスマホやタブレットから見られるという利点が得られます。

企業・個人いずれでも、IT資産の取得・保有コストをぐっと減らしつつ、やりたいことを実現できるという状況が生まれています。

モノも「所有する」から「利用する」へシフトし始めている

車はどうでしょうか。企業では、下記のようなケースでカーシェアリングサービスが利用されているようです。

  • 不動産仲介業で賃貸物件にお客様を案内する
  • 営業員の繁忙期の納品時、荷物を運ぶときだけ利用する
  • 都心にある本社から社用車を利用すると、渋滞に巻き込まれて非効率なので、営業員の自宅近くからカーシェアリングサービスを利用して短時間で移動する

これは個人にも当てはまり、車そのものの車両保険や車検代、駐車場賃料など取得・保有コストを下げつつ、日常の限定されたシーン(雨の日の送り迎え、大きな荷物があるとき)だけで車を使いたいというニーズに応えるサービスとして、カーシェアリングは広まりつつあります。

他にも、「所有する」から「利用する」形態のサービスは様々な領域で始まっています。使用頻度が低いものや使用期間が短いもの(旅行用スーツケース、レジャー用品、ベビーベッド)で存在していましたが、商品そのものの選択や配送・返却の手間が減って、より使用頻度の高いものも「利用する」形態での提供が可能になっています。衣類やアクセサリー、靴などのファッション雑貨、子供のおもちゃなど枚挙にいとまがありません。

今回のまとめ

インプットをぐっと減らすのは、「所有する」から「利用する」へと、全く新しい考え方を取り入れたとき、と言えそうです。より詳しくいうならば、インプットをアウトプットに変えるプロセスそのものが新しいものに置き換えられ、必要としていたインプットが不要になる状態が新たに生み出された、ということになります。

一般的にはこれを「イノベーション」と呼んでおり、以前紹介した『生産性』の中でも、生産性向上のアプローチの一つとして紹介されています。

しかし、全く新しい考え方を思いつくこと自体が難しい、という場合もあるかと思います。次回はイノベーションをどうやって起こすのか、アイデアをどうやって思いつくのか、ということについて考えてみたいと思います。

では、また!

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