成果が出やすい会議のための3つの工夫


前回は、よくある会議の例を見ながら、成果が出やすい会議にするためには、下記の3つが工夫できるポイントです、というお話をしました。

  1. ファシリテーション
  2. 可視化ツール
  3. 簡単なルール

今回はこれを順番に見ていきたいと思います。

1.ファシリテーション

「ファシリテーション」という単語は、お聞きになったことがあるかと思います。
英語の”facilitate”は、もともとは「簡単にする・便利にする」という意味ですが、特にビジネスの場では「組織が目標を達成するために、問題解決・合意形成・学習などを支援し促進すること」というふうに転用されています。

実際の会議の場では、実質的に進行役を務める人が、ファシリテーターとして会議を切り盛りする、というのがよく見られるパターンかと思います。では、ファシリテートがうまい、つまり会議の仕切りが上手な人は、どんなことを心がけているのでしょうか?

内容(コンテンツ)と進行(プロセス)を切り離す


みなさんの会社で、会議を主催するのはどんな方でしょうか?課長や部長、プロジェクトマネージャーなど、多くはリーダーと目される方ではないでしょうか。そうすると、多くの場合主催者がそのまま会議を取り仕切る役割も兼ねると思います。
あるテーマに対して意見や考えを持っている人(多くはリーダー)が開く会議というのは、「結論が正しいことをメンバーと確認し合いたい/責任をメンバーと分担したい」という意図が、多かれ少なかれあります。

この場合、リーダーが真っ先に自分の意見を述べるので、「意見が出ない」という膠着状態に陥ることは避けられますし、結論もリーダーの誘導に従う形で、比較的すんなりと決まることが予想されます。しかし、集められたメンバーはどう思っているでしょうか。

特にリーダーが自分で会議を仕切る場合にありがちなことですが、リーダーはすでに自分の中で疑問点も解決済で、ある程度考えをまとめてしまっているために、「他の人の意見は参考にすべきところがあれば取り入れる」というモードになることがあります。するとメンバーは、「もう結論が決まっているんだな」と思い、話し合いに参加する気が削がれたり、役割分担を受け身で捉えるようになってしまいます。そうすると、せっかく集まって話し合いをする意味があまりありません。

こういう場合に「内容と進行を切り離す」という方法があります。最初から述べたい意見がある人、会議の結論に責任を持つ意思決定者は、そのことだけにフォーカスしてもらうのです。一方で会議の進行はファシリテーターが専任で行い、意見を引き出したり、議論の整理を行ったりすることによって、メンバー全員の参加を促し、納得感のある結論が出せるようにします。こうすることで、メンバーの満足度を高め、ひいては成果の出る会議につなげることができるのです。

裏を返せば、会議にさほど自分の意見を反映する必要がない場合に、ファシリテーターとして進行役を買って出れば、じゅうぶん会議に貢献することができます。

ファシリテーターの役割3つ


会議の中で、ファシリテーターは下記のような行動をとる必要があります。

  1. 冒頭:会議の目的・アジェンダ・ゴールを示す
  2. 途中:意見を引き出す
  3. 終了時:結論を確認する

会議の冒頭で、「会議の目的・アジェンダ・ゴールを示す」というのは、参加メンバーの意識をそろえる働きがあります。この会議ではなんのため(目的)に何(アジェンダ)を話し、どこ(ゴール)に到達すれば終わるのか、という、会議全体の俯瞰図を示すことで、参加メンバーの意識を一つの方向に向けさせ、結論に向かう道筋をつけることができます。

会議の最後に、決まったことをみんなで確認すると、それまでの話し合いの過程で認識のズレが生まれていたとしても、そのまま終わりになることがありません。さらに、「「成果の出る会議」とは?-会議の目的が達成されれば、それでいいのか」でご紹介した通り、各自のToDoまで確認すれば、結論が実行に移される確率もそれだけ高くなります。

そして、これが最も難しいのですが、会議の最中は、メンバーの意見をなるべく公平に引き出すことが大切です。声の大きい人の意見、役職者の意見などは、あえてファシリテーターが取り上げなくても注目を集められるところですが、あえて若手・新人の意見、寡黙だけれども問題に前向きに取り組んでいる人の意見を引き出し、なるべく多くの人を本当の意味で会議に参加させることで、当事者意識の高い会議が実現できるからです。

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