とある会議の様子ー会議の運営には工夫が必要


前回は、会議の成果を「会議の結論に対して、過不足なく実行が伴う」こととし、そのために、会議の終わりに「誰が何をいつまでにするか宣言する」というステップを設ける、というお話をしました。

ここで例として、とある会社の会議の冒頭部分を見てみたいと思います。機械部品を組み立てて販売している会社の、情報システム部の課長が、営業部の各支店の課長を集めて、システムの課題を改善する提案をしようとしています。

システム刷新の提案を行う会議にて

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(情シス課長)「今日はA製品の在庫数の実数とシステムが合わないという問題について、どうすれば良いかを検討したいと思います。手元の資料は現場の営業さんからヒアリングした話を元に、結論から先に書いてますが、バーコードシステムを今までのものから、2次元のものへ刷新することによって、合わせられるようになると考えています。これの検討経緯を述べたいと思います。

まず、A製品は部品A1と部品A2、お客様の希望によってオプションでA3部品をつけるかつけないかが選べますが、リードタイムを受注2日とするために、A3部品のついたものを注文数よりも多くストックしておきます。また、部品A2はB製品と共通で使用できるため、B製品の緊急出荷がかかった場合には、A製品の完成品で受注確定していない分を一旦バラしてB製品へ回すということもあると聞いています。

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(以下、A製品に関係する現場ヒアリング結果を説明したのち、結論を提案する)

というわけで、2次元バーコードラベルによる在庫管理を行えば、実数とシステムは合うはずと考えています。皆さんのご意見はいかがでしょうか、ここからはオープンなディスカッションにしたいと思います」

参加者の意見

(南支店担当課長)
「A製品は販売を取り扱う課が、それぞれ確保分を倉庫の棚で分けて持っているんだ。その棚を全部システム側で把握してるとは思えないし、確保分がよその課から見えて、まだ在庫があると思われても困るんだが
「えっ、確保分はシステムから引き落とされてると聞いてるんですが」
「だって倉庫の棚を物理的に移動してるだけで、別に倉庫の外に出してるわけじゃないから、システムに入力するタイミングがないんだよ。バーコードリーダーって、倉庫の出入口に設置してあるアレだろ」

(北支店担当課長)
「注文数より多くストックしてるのって、もともとうちの、北支店のロイヤルカスタマー向けという前提じゃなかったっけ。そんなにA製品って、他で出ますか?」
「もとはそうなんですけど、最近は南支店でも西でも、ある程度まとまった数が出るんですよ」
「あれ、じゃあ、南や西の分ってどうやって確保してるの?」

(西支店担当課長)
そもそも完成品をもう一度バラすなんて、よっぽどの緊急事態でレアケースじゃないの?
「いや、A2部品の仕入先は3ヶ所あるんですが、そのうちのM商事は最近納期遅れがちょいちょいあるので」
「それ、こないだの大雨で輸入元のタイから入ってくる分が遅延してるからだろ?復旧目処は立ってるって、報告があったと思うが」
(北支店担当課長)「それとは関係なく、B製品は切り替え需要が高まってるんだからさ、Aの完成品バラしてでも売らないことには、商機を逃すだろ」

(東支店担当課長)
「えーと、すみません、僕の部署A製品扱ってないんで、会議抜けてもいいですか?B製品も関係あるって聞いたから来たんですけど、一応アジェンダはA製品の話なんですよね」

果たしてこの会議は成果を出せるか

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各自各様の意見は出ています。誰も発言しない会議よりはよいかもしれません。また、情シス課長は最初に資料も配布し、それに沿って話をしようとしています。ただ、参加メンバーの考えていることが、少しずつ違っているようです。

  • 南支店の課長は、システムの上の数と在庫実数が合わないのはシステムと関係ない、と思っているようです。
  • 北支店の課長は、自分の支店のロイヤルカスタマーのことが気にかかっているようです。
  • 西支店の課長は、完成品をバラすというケースが発生すること自体を問題視しているようです。
  • 東支店の課長は、話がA製品に限られるようだと見越して、このまま会議に出席し続けてもムダだと思っているようです。

この後も会議は続きますが、この会議で成果を出すことはできるでしょうか?一つの結論を出し、それに向かってToDoリストを作り、期限を切って実行に移せるようにすることが可能でしょうか?もしかしてご自分が情シス課長の立場だとしたら「あれ、こんなはずじゃなかった、まとめるのが難しそうだ…」と思わないでしょうか?

会議のプロセスを結論に向かわせる

会議は人と人とのやりとりです。そこには様々な不確定要素があります。

参加するメンバーの問題意識の方向性、議題と資料の整合性、話が脱線する可能性などは、会議が進行していく流れの中でしかわかりません。また、その場で交わされる会話や議論のプロセスは、全員が等しく共有しているとは限りません。人によって解釈や興味の向く先が違うことがあるからです。

これをなるべく一つの結論に向かうようにするには、どうしたらよいのでしょう?
実は、下記の3つを会議に導入することで、会議の成果が出やすいように仕向けていくことができます。

  • ファシリテーション
  • 可視化ツール
  • 簡単なルール

次回はその3つを順番にご紹介していきたいと思います。

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