情報一元化とは?


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前回は業務標準化について考察しました。今回は、同じく基幹システムの提案で訴求ポイントとなる「情報一元化」について、企業にもたらす効果をお伝えしたいと思います。

情報一元化とは?

一元とは「元が一つ」ということです。(反対語は多元、元がいろいろある、とうことになります。)
一元化とは「 いくつかに分かれているものを統一すること」とあります。
これを踏まえると、

  • 一つの事象は必ず一つの情報として管理すること
  • 一つの事象に関連する情報も、統一された仕組みの中で管理すること

この2点を、情報一元化の定義として考えていきます。
 

情報管理と情報一元化の違い

日々の業務の中では様々な情報が発生し、伝達されて、業務が回っていきます。
販売業務であれば、顧客からの問い合わせや注文、工場との納期調整、倉庫での商品梱包・納品書の作成、出荷後の請求書の発行等が挙げられます。
それが一日何回も発生し、また一日で完結しないような状況では、人間は覚えていることが困難なので情報を管理(=記録、蓄積)しておく必要が出てきます。

その管理方法は企業や組織によって異なります。一元化できていない状況とは、大きく下記2点が挙げられます。

  • 情報を管理する受け皿がなく、情報を登録、更新するルールがない。
  • 各々が管理しやすいように、Excel等で個別に情報を持っている。

仕組みがなく現場任せにしているか、仕組みがあっても使いにくい等の理由から現場独自の手法で情報管理を行っているケースの2つが挙げられると考えます。例えば、下記のような確認事項にすぐ回答できるでしょうか。

  • 見積書はどれが最新ですか?
  • 原価見積はいつ誰がどのように行いましたか?
  • 現在の受注残(注文受付後、未出荷のもの)はどれくらいありますか?
  • 注文に対する出荷は行われていますか?現在の出荷状況は?
  • 顧客からどんな問い合わせがあり、どんな回答をしましたか?
  • ある商品に不具合が出たとして、他にも同じ商品を出荷した先はありませんか?
  • 請求書はいつ発行しましたか?
  • 入金されていない債権(滞留債権)はありませんか?
  • 今月の売上、粗利はどれだけありますか

 
このような確認事項に対し、担当者がいないとわからない、複数の担当者が保持している情報をつなぎ合わせたりしないとわからない状況だと、情報把握のスピード、情報の正確性が乏しい状況であると考えます。
 

情報一元化のメリット

業務の中で発生した情報は、情報一元化により「最新の情報がわかり、関連する情報もわかり、誰でも同じ情報を見ることができる」効果があると考えます。
具体的には、下記3つメリットがあると考えます。

①顧客接点の強化

顧客の問い合わせに対し、注文の受付や出荷状況などの状態、問い合わせへの回答履歴が担当者以外でも把握可能になる。
担当者依存ではなく、組織的に共有されていることは、顧客の安心感、信頼に繋がる。

②部門間の連携強化

販売部門にどのような注文が入っているか、今後どのような販売計画を立てているか、その内容が生産側も把握できるようになることで生産計画、出荷計画が立てられ、生産部門の負荷平準化を図ることができる。
また販売部門も生産計画や状況を把握することにより、顧客へ予定納期の伝達が行える。
部門間の情報連携により、余剰在庫の発生(ムダ)や販売機会の損失(欠品)を抑えることができる。

③現場の事実に基づいた意思決定精度の向上

何が売れているか、利益は出ているか、その状況が、事業別、製品別、地域別等で把握できることにより強い部分をさらに伸ばすのか、弱い部分を補強するのか経営判断が行えるようになる。
 
以上のように情報一元化は、顧客との間部門との間現場と経営層との間を繋ぐ効果があると考えます。
 

情報一元化に向けて必要な仕組み

大きく、記録と閲覧の2つが仕組みとして必要です。

正確な情報を、正確なタイミングで管理(=記録)登録/更新できる仕組みが必要

例えば、受注情報がなければ出荷業務に進めない、というような、業務実態に則し情報の整合性を担保できるような仕組みが必要です。
ただ何でも記録するのではなく、何のために必要な情報なのかを定めた上で、管理すべき情報の粒度(細かさ)、関連する情報との紐づけを決める必要があります。

必要な時に、そこにアクセスすれば最新の情報が取り出せる、情報を一ヵ所にまとめる受け皿が必要

もちろん、すべての情報がそこにある以上は、情報漏えいのリスクも出てきますので、セキュリティ対策(ユーザ別の権限設定等)は必要になります。
 

一元化された情報を活かすために

情報が一元化されると、必要な情報を必要なタイミングで把握することができ、企業の業績もリアルタイムでわかるようになります。
そうすると、経営側からもっと細かく情報分析したいという要求も出てきます。例えば、

  • 商品の売れ筋も、製品単位ではなく製品カテゴリ別
  • 得意先も得意先の地域別、得意先グループ別
  • 取引も通常取引なのか、キャンペーン施策によるものか

上記のように、これらの情報を管理するには、通常の業務の他に、何か記録する手段が必要となるかもしれません。
つまり分析する側のニーズを満たすには、分析するための情報を記録する労力が増加する場合もあります。
その場合、現場に対して、なぜその情報が必要なのか、記録しなければどのような弊害があるのか、正しく説明する(=つまり、情報を入力する側の動機づけ)必要があります。
もしその説明がなされない場合、現場は通常業務に加えて経営側への情報作成業務という労力が発生してしまい、後者は省力化を選択してしまう。適当に記録する、後でまとめて記録する、もはや記録しない人も出てくるかもしれません。
このような状況になると、情報に濁りが生じます。濁った情報を正しい手段で分析しても、正しい経営判断には繋がりません。
正しい情報を必要な時に取り出すには、「そこにある情報が正しく、必要な時に存在する」ことが前提です。情報提供側への動機づけは情報分析の第一歩と考えます。

 

ここまで、情報一元化について考察しました。
現代は、人材の流動化やグローバル化が進み、チームや組織がずっと同じメンバーである中で仕事をし続けることは減っているように感じます。いわゆる「あうんの呼吸」が醸成されにくい時代だからこそ、情報を共有する仕組みづくりが必要なのではないでしょうか。
組織が一致団結するには、一致している(持っている情報が同じである=情報が共有されている)ことが前提であり、それが1+1が2以上の力を発揮し、企業の競争力向上に繋がると考えます。

 

今回は以上となります。お読みくださりありがとうございました。

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