業務標準化とは?
基幹システムの提案で訴求ポイントとなる「業務標準化」、それは企業のどのような問題に対する解決策になるのか、私の視点で掘り下げてみたいと思います。
そもそも標準化とは?
日本工業標準調査会によると、標準化とは「自由に放置すれば、多様化、複雑化、無秩序化する事柄を少数化、単純化、秩序化すること」と定義されています。
この”多様化、複雑化、無秩序化”の状態を、基幹業務で考えると、下記のように表現できると思います。
多様化
- 同じような仕事でも、部門や拠点やグループ、個人レベルで各々がやり易いように行っている状態
- 各々が独自で情報を紙やExcelで管理、それらの情報をメールや電話で後続に伝達し、基幹業務を繋いでいる
- 業務量が増えれば、管理や伝達にミスやモレが出てくる
複雑化
- 日々行っている業務は、もっとやりやすいように工夫され、独自の最適化路線を突き進む
- その結果、他者には理解も評価もできない困難な業務が完成
- この仕事はこの人にしかできない、そんな職人が続々と生まれ、辞められたら大変なことに
無秩序化
- 業務にルールも仕組みもなければ、やるべきか(是非)、 やっていいことか(善悪) の判断は各々が都度行う
- 場所や時期、人によって「やったり、やらなかったり、やってしまったり」と結果にバラつきが生じる
- やがて是非善悪の区別が付かなくなり、怠慢や不正を招く可能性も
標準化の対象となる業務の例
例として、「商社の販売業務」であれば下記のような業務があります。
- 顧客からのオーダーを受ける
- 工場や倉庫へ出荷の依頼を行う
- 納品書を印刷する
- 商品を運送業者に引き渡す
- 請求書を作成する
- 会計仕訳を入力する
- 金融機関の入金情報と付け合わして消し込む
これらの業務は日常的に発生します。企業規模や業種によりますが、何十件、何百件、それ以上の業務が発生しているでしょう。
部門や拠点を複数持ち、また海外にも拠点を持っていれば、業務量はさらに増加します。
もし業務が多様化、複雑化、無秩序化された状態であったとしたら、そこには日常的に多大な時間と、多大な労力と、多大なリスクが存在していることになります。
業務を標準化するために行うこと
標準化=多様化、複雑化、無秩序化を防ぐこと。 このように考えると、行うべきことは大きく2点あります。
仕事のやり方(いつ、だれが、何を、どのように、どの順番で行うか)を定める
つまり、業務フローを作ることです。
情報の管理や伝達は、決められた仕組みの中で行う
共通のプラットフォーム(ITシステム)を作ることです。
特に一定の規模や拠点を持つ企業であれば、ITで骨格となる仕組みを作り、ITではカバーできない業務を従来通り人手で行うといったスタンスで臨めば、IT構築のコストと時間を抑えて、その効果を早期に享受できると考えます。
業務標準化の効果
① ムダ(時間、労力)が減る=業務効率の向上
これまで業務に注いでいた時間、労力から
- システムで自動化・省力化できた労力
- 手順が明確になり迷わなくなった時間
この2つを引くことができます。
もちろん、新しいシステムを使う時間は増えますが、これは徐々に慣れていくため時間とともに減少していきます。
ムダを減らして獲得できた時間と労力を、付加価値の高い業務へシフトすること、これが業務標準化の最大の効果だと考えます。
② リスクが減る=内部統制の強化
決められた仕組みの中で業務を行うことにより、例外(過失・故意問わず)が発生しにくくなります。
また標準化により手順が明確になることで、業務担当者の役割・責任範囲が明確になり、能動的な業務連鎖が生まれ、業務の停滞を防ぎます。
③ 事業や規模の拡大がしやすい=将来変化に適応
事業を増やす際、その事業の業務プロセスは、標準化モデルがあればそれをベースに考えることができます。
支店の増加や海外進出の場合においても、標準モデルを横展開して、その上で現地要件を補えばよいので、ゼロから考えるよりもはるかに早く、安定した業務を開始できます。
標準化を阻む壁
各々が独自で構築したやりやすい業務のやり方を壊す必要があるゆえ、現場の反発も発生しやすいと感じます。
また標準化を実現したとしても「前の方がやりやすかった」、そんな声が現場から出てくることもあります。
その壁を壊すのは、なぜ業務の標準化が必要なのか、トップから現場レベルまでその意思を行き渡らせる準備(=共通認識づくり)が必要だと考えます。
ここまで、業務標準化について、自身の経験に基づき掘り下げてみました。
個人的には、無駄を省いて本業に力を注げるようになること、これが業務標準化の一番の効果だと思います。
もちろん、そのためには本業とは何かを示し、力を注ぐ方向性(理念、ビジョン)があり、全社的に共有できていることが前提であるということを付け加えさせてください。
今回は以上となります。お読みくださりありがとうございました。
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