システム提案書作成に必要なスキルとは?提案書作成研修の報告


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先月、講師として1年間実施したITコンサル企業様への提案書作成研修を終えました。
東京と大阪の各拠点で行った活動内容を紹介します。

提案書作成研修の目的

本研修開催にあたり、社長よりいただいたご要望は大きく2点ありました。

  • 提案書が書ける人材が限られているため、様々なメンバーに作成方法を習得してもらい全体の底上げを図りたい。
  • 時間をかけて提案書を作っても競合に負けてしまう。勝てる提案書を書けるようにしたい。

そこで、目的を3点設定させていただきました。

  • 1.書き方を知る→提案書に記載すべき項目と流れを把握する
  • 2.進め方を知る→選ばれる提案にするためのアプローチ方法を把握する
  • 3.効率化を図る→提案書作成工数を下げながら付加価値を上げるために雛形を作成する

実践的な研修の方が効果が見込めると考え、受講者には3~4名のチームを作っていただき、仮のRFPをお渡しして実際に提案書を作ってみることを課題として取り入れました。

研修の内容とスケジュール

研修は昨年の5月にスタートし、四半期に1回のペースで集合形式の研修を開催しました。

内容 担当 時期
①講義1回目 講師+受講者 5月
②課題となるRFPを提示 講師→受講者 5月
③各チームで提案書作成 受講者 6月
④提案書の評価 講師 7月
⑤講義2回目(フィードバック) 講師+受講者 9月
⑥講義3回目 講師+受講者 12月
⑦課題の対応と初回提案書のブラッシュアップ 受講者 1月
⑧提案書の評価と雛形選定 講師 2月
⑨講義4回目(フィードバックと雛形選定結果報告) 講師+受講者 9月

受講者は自社プロジェクトや客先に常駐している方がほとんどでしたので、チームで提案書を作成することは時間や場所の制約があり大変であったと思います。
ですが、実際の提案活動においては、各メンバーがメインの仕事に従事しながら提案書を作成していくケースも多いため(プリセールスに固定リソースを置けない企業様も多いと思いますし)現実的な演習になったと思います。

実際に提出いただいた提案書も、各チームで創意工夫されており、力が入っておりました。
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フィードバックは評価項目と重み付けを設定し、複数のメンバーで行いました。
実際の評価は経営層や情シス、現場のキーマンなど立場によって見るポイントが変わってきますので、この評価方法も現実的であったと思います。
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上記は評価シート詳細です。
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各チームの採点結果サマリーを発表しました。

目指したのは提案書の書き方でなく、選ばれる提案書の作り方

提案書の書き方については、書店に行けば提案書をはじめ企画書や報告書の書き方など関連書籍がありますし、インターネットから情報を得ることもできると思います。
この研修では、テクニックだけでなく、お客様に選んでもらえる提案にするための「意識や進め方」を加えて、現場で実践いただけるスキルを得ることを重要視しました。

私自身、過去にソリューション営業を担当した頃、提案書の書き方もお客様への説明の仕方もわからずに、結果が出ない時期がありました。
ましてや基幹システムのように、企業の投資も大きい商材は、製品ありきの提案では受け入れていただけません。
(個人のお宅に出向いて「新しい家いかがですか?」と言っているようなものです。)

たくさんの失敗から、まずはお客様の問題が何かを把握してみよう、それを解決する手段として提案する商材が貢献できることは何だろう、と意識を変えてみました。いわゆる顧客の問題を起点としたアプローチを用い、試行錯誤したことで、以降は結果的に受注に繋がった経験を重ねることができました。

選ばれる提案にするためには、最終アウトプットである提案書だけでなく、顧客に対する意識や提案活動の進め方をトータルで変化させる必要があると感じます。

今回の研修は、この経験を体系的にまとめてお伝えしました。

理論の定着を図っていくには

研修には2種類あると考えています。

  • 方法がわかり、その通りやれば、得たい結果が得られるもの
  • 方法がわかっても、個々の意識や周りの環境によって、得られる結果が変わってくるもの

前者はプログラミングや資格試験対策、習い事(ピアノや料理教室など)が挙げられ、具体的かつ画一的な教材と反復による習得が行える性質があると思います。
ですが、今回の研修のような営業スキルを上げたり、プレゼンテーションやファシリテーション、プロジェクトマネジメントなど、意識や経験的要素が強い内容は、教材の内容も抽象的で、習得も個人によってバラつきが出てしまいがちです。

そこで、抽象的にならないよう、実際の提案活動で用いたフレームワークをアウトプットベースで紹介しました。またケーススタディも取り入れ、考えるプロセスを把握していただくよう工夫し、実践的な知識獲得に繋がったと思います。

あとは習得ですが、提案活動はピアノと違い、顧客はいつも異なりますし、何度も反復しながら習得するものではないように思います。(何度も提案機会をくださる顧客もそんなにいないと思いますし。)
研修により知識としては問題を抽出するための打ち手を複数持てたと思いますが、反復を少なくするための支援(顧客への提案精度を上げるための支援)も必要ではないかと考えております。
そして受注に繋がった成功体験が、知識の習得と次の提案の精度向上に繋がるのはないかと思います。

 
ここまで、システム提案書の作成スキルを上げるために必要だと考えていることを、1年間の研修講師としての活動報告を含めて紹介いたしました。
講義は受講者とのディスカッションも取り入れたことで、自身にとっても新たな気づきがたくさんありました。
受講いただいた顧客の社長からは今期の研修はバリエーションを増やす等、拡大を図りたいとのご要望もあり、今期も自身の経験や考え方の押し付けではなく、共に考えながら双方の成長に繋がる活動にできるよう工夫していきたいと思います。
 

今回は以上となります。お読みくださりありがとうございました。

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